MFS議決権行使に関する方針及び手続

マサチューセッツ・ファイナンシャル・サービセズ・カンパニー、MFSインスティテューショナル・アドバイザーズ・インク、その他のMFSの投資顧問子会社(「MFS」と総称)ではMFSの一連のファンド(「MFSファンド」)に含まれる登録投資会社を含め、MFSが投資顧問を務め、代理で議決権行使を行う権限を有するお客様の所有する証券について、下記に定める議決権行使に関する方針、及び、手続を採用いたしました。本方針、及び、手続において、お客様に言及する場合には、MFSファンド、及び、海外で組成されたファンド、サブアドバイザリーしたファンド、分離口座のうちで、MFSの議決権行使に関する方針に基づき、お客様自身に代わってMFSに委任投票の権限をしているお客様等、その他のMFSのお客様が含まれます。

 

本方針及び手続の内容:

A. 議決権行使ガイドライン

B. 管理手順

C. 記録の保持

D. 報告

 

A. 議決権行使ガイドライン

1. 全般的な方針・利益相反の可能性

MFSでは、議決権行使の判断について、第三者もしくはMFSの企業としての利益ではなく、お客様の最善の長期的、経済的利益にかなうという考えにしたがって行うという方針を取っております。

MFSでは、経営陣または株式公開会社の株主のいずれかによりコーポレート・ガバナンス関連事項並びに株主議決権行使に付された事柄を見直ししています。MFSでは、お客様の代理として行う議決権行使はすべて、そのお客様の最善の長期的、経済的利益にかなうとの考えによりなされなければならないという基本理念に基づき、下記の通り、MFSが原則として株主議決権行使に付された具体的な事項についてどのように議決権行使するかについて定めた、議決権行使に関するガイドラインを採用いたしました。

原則として、MFSでは株主総会での類似の議決権行使案件について、一貫した議決権行使ポジションを取っております。但し、過大な役員報酬、環境、社会、ガバナンス関連問題等の提案については、その提案に関する事実と状況を勘案して事案毎の対応を行います。従って、MFSは類似の議決権行使案件でも、異なる株主総会では、特有の事実、状況、提案内容を勘案して、異なる議決権行使を行うことがあります。

加えて、MFS では、特定の株主議決権行使について、本ガイドラインに準拠しないことが最良の判断で、お客様の最善の長期的、経済的利益につながる議決権行使に関する基本理念に合致している場合には、本ガイドラインに準拠しない権利を留保します。

同じ企業の発行する証券を複数の顧客勘定に保有している場合、MFSが、お客様から異なる議決権行使に関して明示的な指図を受けている場合には異なる議決権行使を行うことがありますが、そうでない限り、原則として、同じ事項については一貫した議決権行使を行っております。同様に、ある特定の顧客勘定の運用に責任を持つ運用チームが、その顧客勘定にとって、長期的な経済的利益の観点から、異なる議決権行使を行うことがあります。

MFSでは随時、お客様から本ガイドラインや特定の議決権行使に関する事柄についてコメントを受取ることがあります。こうしたコメントについては慎重に検討を行っており、また、本ガイドラインについては適宜改訂しております。

本方針及び手続は、MFSがお客様の代理として議決権行使を行う上で生じ得るMFSまたはその関係者側の潜在的かつ重大な利益相反に対応することを意図したものです。 潜在的かつ重大な利益相反が発生した場合、MFSでは議決権行使を行う上で生じ得る潜在的かつ重大な利益相反について分析、記録、報告を行い(セクションB.2並びにD参照)、最終的にはMFSがそのお客様の最善の長期的、経済的利益となると考える通りに議決権行使を行います。 MFS議決権行使委員会が責任を以って潜在的かつ重大な利益相反の監視と報告を行います。

MFSでは、お客様の資本を責任を持って配分することにより、お客様の長期的な経済目標を達成することを目指しています。それには、議決権行使に環境、社会、ガバナンス(「ESG」)という要素を組み込むなど、株主としての活動を行う中で適切なスチュワードシップを実践することが必要不可欠であると考えております。そのため、組織、エンゲージメントその他業界における協働的な取組みに参加して、具体的なESG問題に関する理解を深めたり、ESG関連のイニシアチブ(例えば、国連責任投資原則、ネット・ゼロ・アセット・マネジャーズ・イニシアチブ、Climate Action 100+、ShareAction等)を促進したりしています。なおESG問題については、お客様の長期的な経済的利益を最大化することが受託者の責任であることを踏まえて考慮します。

2. 具体的な問題についてのMFSの方針

米国発行企業についての取締役の選任

MFSでは、良いガバナンスのためには、取締役会のうち少なくとも単純過半数が経営から「独立」していて、取締役会の主な委員会(報酬委員会、指名委員会、監査委員会等)については完全に「独立」取締役で構成することが必要であると考えております。MFSでは通常、無投票もしくは無競争選挙の場合に取締役会が推薦する候補を支持はしますが、米国の発行企業(あるいは米国証券取引所の上場企業)の取締役会については、その候補が取締役会に選ばれた結果、取締役会の単純過半数が「独立」ではないメンバーによって構成されることになる場合、あるいは、報酬委員会、指名委員会、又は、監査委員会に「独立」ではないメンバーが含まれることになる場合には、その候補には投票を控えるか、もしくは必要な場合は反対票を投じます。 同様に、米国企業の場合、筆頭独立取締役に関して、取締役としての通算任期が20年を超えるときには、その候補を個別に評価します。 取締役候補が議決権行使資料もしくはその他の企業情報に記載された正当な理由がなく、前年の取締役会議への出席が75%以下である場合にも、MFSでは投票を控えるか、もしくは必要な場合は反対票を投じます。また、 (1)直近の年次株主総会以降、株主の承認なく、取締役会、または、報酬委員会がアンダーウォーター(「水面下に沈んだ」)オプションの価格を設定した場合、あるいは、(2)取締役会、もしくは関連する委員会が、株主の多数から支持もしくは反対された問題に対して、適切な対応策を取っていない場合、(3) 直近の年次株主総会以降、取締役会が株主の承認なしに「ポイズン・ピル」を実行した(関連した営業純損失の繰り延べを含む)場合、(4)取締役会もしくは担当委員会が、役員による株式のヘッジ取引、抵当によるリスクの監視を怠っている場合、(5)取締役あるいは企業にガバナンス上の懸念(取締役会が自社の定款における株主に友好的でない条項の削除に向けて行動しないことを含む)がある場合には、MFSでは、取締役会の再任選挙に立候補している候補の一部もしくは全員に対して票を投じないことがあります。

MFSは、健全なコーポレート・ガバナンスの基礎として、取締役会はバランス良く多様性を持つべきと確信します。MFSは、取締役会が20%未満の女性取締役で構成されている米国企業では、指名委員会・ガバナンス委員会の委員長、またはそれに相当する役職を、原則として支持しません。MFSは、最終的な行使判断を行う際、他の要因とともに、その企業が取締役会のジェンダー・ダイバーシティを高めようとしているかどうかを検討します。多様な視点を持った取締役会は、良好なガバナンスの基盤であると考えており、MFSは女性取締役の最低構成比率を高め、人種、民族、地理的な位置など取締役会の多様な視点を高めるため、性別以外の要因を考慮して方針を拡大することがあります。

MFSは、取締役会の規模が、効率的に機能する能力に影響があると考えています。取締役会の規模は個別に評価しますが、その規模が16名を超える場合は、指名委員会、ガバナンス委員会の会長職を、通常支持しません。

MFSは、取締役が公開企業CEOでない場合、取締役候補が4社以上公開企業の取締役会を務めている場合、その選任には反対します。取締役が公開企業CEOである場合、取締役候補が2社以上公開企業の取締役会を務めている場合、その選任には反対します。例外として考慮しうることは(1)取締役が合理的な期間内に4社あるいは2社を超える公開会社取締役会から退く意図を持っている旨を企業が表明している、(2)取締役が公開企業取締役会への兼務数が許容される上限を超えているが、その理由が関連企業取締役会の兼務によるか、もしくは同一グループ内複数の投資会社(関連法規に定義される)取締役会の兼務による、という場合です。

MFSは、米国企業の取締役候補が、MFSが業績もしくは支払方法に問題があるために「乖離が甚だしい」と判断する報酬の承認決議に(取締役もしくは委員会委員として)参加していた場合、再任選挙において、その候補を支持しないことがあります。詳細は、役員報酬に関しての諮問投票を参照ください。

委任状争奪戦

株主は時として企業の経営戦略、資本配分、その他の問題について異なった意見を表明することがあります。そのような株主は企業の推薦する取締役候補とは異なる取締役候補リストを提案することがあります(「委任状争奪戦」)。MFSは委任状争奪戦については個別に分析を行い、双方の取締役候補の過去の実績や推薦理由などを考慮します。MFSはお客様にとって最良で長期的な経済的利益に資すると確信する取締役候補を支持します。

多数決制、取締役選任

MFSは、取締役選任においての賛成多数決の採用、また取締役選任においての相対多数決の廃止(企業の社内規則の変更決議の要請を含む)を要求する株主提案(多数決提案)には、MFSは合理的な理由によって作成されたものとして賛成票を投じますが、それは提案が、取締役会の定数を上回る候補が推薦されている場合(競争選挙)に相対多数決による規定が盛り込まれている限りにおいてです。

クラス別取締役会

MFSでは、原則として、発行体(ある種のクローズド・エンド投資会社以外)の取締役会のクラス分けをやめる提案を支持いたします。MFSでは、原則として、発行体(ある種のクローズド・エンド投資会社以外)の取締役会をクラス分けする提案には反対します。

議案提出権

MFSは企業議案において取締役候補を推薦すること(議案提出権)ができる適格株主の存在は、企業ガバナンスに資するものと考えています。しかしその利点は株主による権限乱用の危険性を考慮した上で活用されるべきです。従って米国企業への議案提出権については、株主が3年間継続して3%の保有比率を保っていることを条件に支持することとします。そのような株主は少なくとも2名の取締役候補を推薦する資格があると考えます。企業は不必要な制約を設けることで議案提出権が実行不可能にならないよう留意すべきです。そのような制約の例として取締役候補の推薦回数の制限が含まれます。

MFSでは、議案提出権を求める、その他の提案は個別に検討します。検討に際しては、MFSは、適格株主の条件(保有株数、保有期間等)並びに議案提出権を求める合理性について考慮します。

株式プラン

MFSでは、執行役員、取締役、従業員に対して不当に厚遇な報酬を提供する制度、もしくは、その他の株主に対する過度の希薄化につながり得る制度には反対します。原則として、MFSでは、特定の企業の制限株プラン、ストックオプション、社外取締役向け、包括ストックオプションが全体で15%以上の希薄化につながる可能性がある場合には、そのストックオプション制度には反対票を投じます。さらに、MFSは、毎年末S&P100インデックスに採用された米国企業のストックオプションに関しては、10%以上の希薄化につながる可能性がある場合には反対票を投じます。ストックプランの修正がプラン内容に関わるもので、株数を増加させない場合は、MFSは個別に検討します。

MFSでは、また、取締役会、または、報酬委員会に、株主の承認なく、アンダーウォーターオプションの価格の設定し直すこと、あるいは、自動的に株式を補充することを可能とするストックオプション制度には反対します。

MFSでは、役員、従業員、社外取締役に付与されるストックオプション制度がオプション保有者による投資を必要としない場合、株価への「フリーライド」を可能とする場合、オプションが付与された日の適正市場価格を下回る行使価格のストックオプションの付与を可能とする場合には、反対票を投じます。

MFSでは、既存のオプションを新たに発行されたオプション、譲渡制限付株式、もしくは現金と交換する提案については、MFSでは、(交換が価値に見合うかどうか、また役員が交換を行えないか等の要素について考慮した上で)個別に検討します。

MFSでは、従業員株式購入制度に基づいて購入される株式が市場価格の85%以上の価格で取得されており、過度の希薄化を発生させないことを条件として、広範囲の従業員株式購入制度を利用して従業員による自社株の所有を増やすことを支持いたします。

役員報酬に関する株主提案

MFSでは、役員の獲得、動機付け、確保には、他に負けない待遇が必要であると考えております。しかしながら、ある種の役員報酬は「過剰」になり得るもので、企業財産の効率的な利用ではない場合があることを認識しています。MFSは、発行体の取締役会の選任(上記)とストックオプション制度への投票(上記)が、意見表明を行うメカニズムとしては、現状では最も効果的な方法であると信じております。

MFSは、原則として、役員報酬に厳格な制限を設ける株主提案には、反対しますが、それは報酬委員会が適度な柔軟性を持って、適切な指数もしくは業績連動型オプションを測定する他の基準を提案すべきであると考えるからです。役員に与えるストックオプションを企業業績に連動させることは支持しますが、業績に基づく報酬を特定の参照式と連動させることには反対します。

MFSは、原則として、以下のように合理的な理由によって作成された株主提案は、支持いたします。(1)企業が業績連動ボーナスや、重大な下方修正に基づかない経営陣への報酬の一部を回復するための規則を適用する(既に企業が適切な規則を適用していない限りにおいて)、(2)将来に亘って後日付のストックオプションを明示的に禁止する、もしくは(3)広義の「資本支配の変更」に基づく株式報酬の権利付与の早期化を禁止する。

役員報酬の諮問投票

MFSは、役員報酬に関しての諮問投票を個別に分析します。MFSは、企業が過剰な役員報酬制度を適用していると判断した場合は反対し、そうでないと判断した場合は支持いたします。過剰な役員報酬制度とはそのインセンティブ制度設計が企業の株主にとって最良な長期的な経済的利益と整合していないことを含みます。過剰な役員報酬の例としては、報酬と業績が連動していない場合、もしくは将来的に連動しない可能性があるとMFSが判断するインセンティブ制度設計の場合、ボーナス保障条項、不当な年金支払い、過去日付によるストックオプション、CEOへの過度に寛大な採用時ボーナス、重大な特権、退職時手当に関しての消費税払戻しなどが含まれます。MFSが(1)諮問投票に反対した場合もしくは(2)乖離が甚だしい過剰な役員報酬と判断した場合、MFSは取締役会への候補者にも反対することがあります。MFSはまた、米国企業への諮問投票に関して、複数かつ多数の株主に頻繁に支持された諮問投票の結果を遂行していない場合、取締役会への候補者にも反対することがあります。

MFSは、原則として、役員報酬に関する株主の諮問投票を毎年実施することを含む提案を支持いたします。

「ゴールデンパラシュート(高額退職金)

時に、MFSは、退職時手当もしくはゴールデンパラシュートを、企業合併の提案に対する投票に際して、別途の諮問投票として検討することがあります。MFSは退職時手当ては、個別に判断します。合併の提案を支持している場合でも、退職時手当てには反対することがあります。

所定の基準額を超える役員退職手当に対する株主による承認を求める議決権行使案件が企業の株主により提出されることがあります。 MFSでは、当該役員の年間報酬の一定の割合を超える退職手当に対して株主の承認が求められる場合には、株主提案に対して賛成票を投じます。非常に高額な退職金について議決に付された場合には、MFSは反対票を投じます。

企業買収対策

原則として、MFSでは経営陣を株主による訴訟から保護する提案を含め、株式の資本増価を禁じる措置には反対票を投じます。この種の提案には、「ポイズン・ピル」や「サメよけ」からボード・クラシフィケーション条項やスーパーマジョリティ条項まで、様々な形があります。

防衛的な「ポイズン・ピル」の適用、または既存の「ポイズン・ピル」継続については、個別に検討しますが、原則として企業買収対策には反対します。

MFSでは、市場価格を下回るテンダーや、発行企業の全株式を大幅に下回るテンダー等、株主にとって不利なテンダーについて防ぐことを目的とする提案については個別に検討します。

MFSでは、営業純損失の繰り延べを防止する意図でのポイズン・ピルは、会計上税務上の利点と将来の買収を遅延させるリスクを考量して、個別に検討します。

再法人化及び再編に関する提案

ある企業を別の州の法律に基づいて再法人化する提案や、その他の種類の企業再編を行う提案が提出された場合には、MFSではそうした措置を支持するかどうか決定するに当り、そうした提案の基本的な目的と究極的な効果について検討いたします。 MFSでは原則として、MFSのお客様の最善の長期的、経済的利益になると思われる経営者側の提案には賛成票を投じますが、例えば、その意図または効果が考えられる買収に対して新たに不適切な障害を設けることにあると考えられる場合には、そのような措置に反対することもあり得ます。

株式発行

株式発行には、数多くの正当な理由があります。但し、「賃金外報酬制度」の項に既に記載した通り、ストックオプション制度が(個別、あるいは、同じ企業の他の制度と一括して)現在の株主資本を大幅に希薄化する場合(約15%以上等)には、MFSでは通常、その制度に対して反対票を投じます。MFSではまた、説明なしの権限付与は買収防止の手段として機能する可能性があることから、マネジメントが理由を明らかにせず、普通株、または、優先株を発行するための権限(「無制限の権限」)を求める提案にも反対票を投じます。MFSはまた、普通株や優先株の発行するための権限を正当な理由なく求める提案にも反対票を投じます。

買戻し制度

MFSでは、株主全員が平等な条件で参加することが可能な株式購入制度を儲ける提案については支持いたします。このような制度としては、企業が自社株を公開市場で取得する場合や、企業が自社株主に対してテンダーオファーを行う場合等が挙げられます。

累積投票

MFSでは、累積投票を導入する提案には反対し、累積投票を廃止する提案には賛成します。いずれの場合にも、MFSでは、累積投票が少数株主であるMFSのお客様の利益を高めるかどうか検討します。

同意書及び臨時総会

臨時株主総会を招集する権利、もしくは同意書に基づいて行動する株主の権利は、株主にとっての強力な手段となり得ます。したがって、MFSでは原則として、10%以上の株主が臨時株主総会を招集する権利を要求する提案や株主が同意書に基づいて行動する権利を要求する提案を支持いたします。

社外監査人

MFS では米国企業については、社外監査人の選定はその企業の取締役会に任せることが最良であると考えており、企業の社外監査人については、取締役会の選定の承認を支持します。一部の株主は、企業の社外監査人による監査以外の業務を制限する提案を提出し、また企業の社外監査人が、その企業に対して監査以外の業務を提供することを禁じております。MFSでは、社外監査人による監査以外の業務の履行の禁止、または制限を勧告する提案、及び、社外監査人が、その企業に対して監査以外の業務を行っていることを理由として企業の社外監査人の解任を勧告する提案には反対します。MFSでは、取締役会または監査委員会は、現行法で認められている限られた状況においては、特定の監査以外の業務について社外監査人を雇う裁量を有するべきであると考えております。

その他事項

MFS では、原則として「その他事項」提案には反対しますが、それは、提案の内容が投票の時点において明らかでないからです。

株主総会の散会

MFS では、原則として総会議案の他項目について支持している場合、散会提案について支持します。MFS では、原則として総会議案の他項目について支持していない場合、散会提案について反対します。

環境、社会、ガバナンス (ESG)問題

企業のESGへの取組みは、その企業の長期的な業績に影響を与えるとMFSでは確信していますので、原則として、企業の株主の長期的な経済利益に最も適うとMFSが信じるESG問題への提案は、支持します。ESG関連の提案に対し原則としてどのように投票するかを定めた下記のガイドラインを採用しています。ただし、提案が不当に多大な費用を要したり、制約の多いものであったり、負担の重いものであると判断した場合、あるいは提案の内容が企業の営業活動や売上高、設備投資にもたらす潜在的な機会とリスクを株主が評価するのに十分と思われる公開情報を企業が既に提供している場合には、その提案を支持しないことがあります。ある特定の原則が適用されないESG関連の提案に関しては、MFSは個別に検討し、その提案が株主の長期的な経済的利益のために最善であると判断した場合にはこれを支持します。その結果、提案を巡る特有の事実、状況を勘案して、株主総会において類似する提案に異なる議決権行使を行うことがあります。

MFSでは、原則として、企業買収対策のように株主から経営陣を隔離するガバナンス構造を除去することを意図する提案、もしくは株主権利の強化を意図する提案を、支持します。ガバナンス関連問題の多くは報酬問題も含めて、本ガイドラインによって要約されています。加えてMFSでは、通常、代替の取締役候補者名簿を要請することに起因して異議ある株主となった場合、その株主(企業支配を目指すものではない)に合理的な費用を返還することを要求する提案は、支持いたします。MFSでは、原則して、デリバティブ取引での企業の担保利用に関しての開示を要求する、合理的な株主提案は、支持いたします。

MFSでは、通常、企業に適切かつ効果的なバランスの取れたリーダーシップ構造(例えば、適切なレベルの権限と義務を持つ強力な、筆頭独立取締役)が存在しない場合には、独立した取締役会議長の提案を支持します。既に強力な、筆頭独立取締役が存在する場合には、ケースバイケースで提案を評価します。

MSFでは、将来の運用リターンは気候変動とその抑制政策の影響を受ける可能性が高いと考えているので、投資先企業各社に対し、パリ協定に従って温室効果ガス排出量を削減するための気候計画を策定することを求めています。したがって、MFSが原則として支持するのは、企業に対し、(1)広く認められている世界的な枠組み(例えば、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD))の提言に整合し、適切に監査され、かつ、企業のデータを株主が評価・分析できるような形で表示された気候関連情報の開示を求める提案や、(2)パリ協定に合致した排出量削減計画の策定、開示、実施を求める提案です。MFSでは、特定の環境目標に向けて行動を起こすよう発行企業に求める提案を含め、その他全ての環境関連の提案を個別に分析します。

MFSでは、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)(「DEI」)の問題に関する提案を含め、社会関連の提案については個別に分析します。原則として、MFSでは株主提案が以下の内容であれば、支持します。(1)性的指向や性的自己認識に基づく差別を禁止するため、企業の雇用均等方針を修正する要求、(2)企業の政治献金(貿易団体、ロビイング活動を含む)に関する追加的開示の要求、(3)従業員関連のDEIに関する開示の拡充の要求。各州の法律によっては、その法律の対象となる特定のお客様の利益について、ESG問題の面でどう議決権行使すべきか定まっている場合があります(例えば、州年金法)。従って、あるお客様についてMFSが他の勘定について通常行うのとは異なる議決権行使を行うことが必要となる場合があります。

グローバルな発行企業(非米国企業)

MFSは原則、以下の場合を除いて、取締役会の再任選挙に推薦されている取締役候補を支持します。(1)取締役候補が議決権行使資料に記載された正当な理由がなく、前年の取締役会議の75%以上に欠席している場合、(2)直近の年次株主総会以降、株主の承認なく、取締役会、または、報酬委員会がアンダーウォーター(「水面下に沈んだ」)オプションの価格を設定した場合、(3)直近の年次株主総会以降、取締役会が株主の承認なしに「ポイズン・ピル」を実行するか、もしくは株主の多数が「ポイズン・ビル」を廃止するよう勧めているのに、取締役会がその決議に対する対応策を取っていない場合、(4)前回の年次株主総会以降、株主の過半数の支持または反対を受けた問題について、取締役会が適切な対応を取らなかった場合、(5)取締役または発行企業の業績および/またはガバナンスに関する懸念(取締役会が自社の定款における株主に友好的でない条項の削除に向けて行動しないことを含む)がある場合。そのような状況においては、取締役候補に反対票を投じることがあります。

MFSは、多様な視点を持ったバランスのとれた取締役会が健全なコーポレート・ガバナンスの基盤になると考えているため、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアのいずれかの企業において、取締役会が20%未満の女性取締役で構成されている場合、指名委員会・ガバナンス委員会の委員長、またはそれに相当する役職を、原則として支持しません。MFSは、企業の取締役会がジェンダーの多様性を高める方向に移行しているかどうか、他の要素とともに、最終的な議決権行使の際の判断に考慮することがあります。MFSのガイドラインは、現在、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアの企業(および米国の企業)を対象としていますが、一般的には、グローバルに取締役会における女性の構成比率を高めることが必要であると考えています。その結果、この期待を強めるために、この方針を他の市場にも拡大していきます。加えて、MFSは女性取締役の最低構成比率を高め、人種、民族、地理的な位置など取締役会の多様な視点を高めるため、性別以外の要因を考慮して方針を拡大することがあります。

また、米国以外の市場において、企業ガバナンスに関するガイドライン等が採用されています(例えば英国、日本でのコーポレートガバナンスコード)。それらガイドラインの多くは、「遵守するか説明する」方針で運営されています。従って、MFSでは、企業のコーポレート・ガバナンスのガイドラインへの遵守状況については、企業の説明を個別に検討します。そしてその説明が充分でない場合は、取締役会への候補もしくはその他関連する投票において、反対することがあります。

各国の市場慣行やガイドライン、コーポレートガバナンスコードは個別判断において考慮しますが、市場慣行を促進させるために追加的な基準を適用することがあります。特に日本市場においては、MFS独自の判断として、独立取締役が取締役会の3分の1に満たない場合、取締役の推薦に原則として反対します。

さらにMFSでは、取締役会への候補もしくはその他関連する投票において、行使を控えることがありますが、それは懸念が反対票を投ずるには足らないと判断される場合です。 MFSは原則、社外監査人選任について支持いたします。例外的に社外監査人が独立でないとMFSが信じるに足る場合には、反対することがあります。

海外市場によっては、役員報酬への株主投票を義務付ける場合があります。MFSでは、長期的な株主価値を創造するために適切に業績に応じた支払いを行う目的による市場慣習に基づいて、企業の役員報酬が過剰であるとMFSが判断する場合は、その提案に反対票を投じます。また役員報酬の過剰度合が深刻でない場合は、行使を控えることがあります。

海外の議決権行使については、現地法制に従い、反復的で議論の余地のない項目が多くあります。従って一般的に通常のものとみなされ、判断の必要がないものとして、以下の項目があります。(1)決算その他取締役会からの報告の受領、(2)配当宣言の承認、(3)取締役会議事録へ署名する株主の指名、(4)経営陣や顧問委員会による行為の事後承認、(5)株式買戻しプログラム(買収対策でない場合もしくは他の懸念がない場合)の承認。MFSでは、その他全ての海外企業の議決権行使に関する事柄を本ガイドラインに則って評価しますが、原則として、議決権行使の判断に際して情報が不充分である場合には、その提案を支持しません。また

MFSが反対票よりも穏健な方法で懸念を表明したい場合、行使を控えることがあります。

現地の法律または商慣行に従い、海外企業もしくはカストディアンの一部が、株主総会の前から総会の翌日までの一定の期間、議決された株式の売却を禁じています(「株式の売買停止」)。 企業の所在する国により、停止期間は総会前の所定の日数(1日、3日、5日等)またはその企業が決めた日に開始されます。慣行は様々ですが、多くの国では、株主総会が休会され、後日に延期された場合には停止期間が延長されます。 同様に、株主が「停止」を早期に解除できるかどうかについても慣行は大きく異なります(例えば、一部の国では、株式は通常総会の2日前まで「停止されない」一方で、他の国では、停止の解除は発行企業の名義書換代理人の裁量によると思われます)。こうした制限事項により、MFSではそのお客様にとっての議決権行使のメリットと原株を最も有利な時期に売るための柔軟性が減じられることによるポートフォリオ運用への重大な影響とのバランスを取る必要があります。 停止期間の長くなる可能性のある国、もしくはカストディアンが停止を行う市場の企業の場合、全般的な条件の変化にも関わらず、株を売却できないことのデメリットが、株主総会で定型的な項目について議決権行使することのメリットを上回ります。 従って、MFSでは原則として、異例の重要な議決権行使がない場合には、このような議決権行使は行いません。

各国政府の発動する経済制裁措置によって、特定の企業もしくは個人との取引が禁止される場合、その制裁措置が議決権行使の禁止にまで及ぶことがあります。そのような状況では、MFSは制裁措置違反とならないよう、議決権行使を行いません。

限られた状況ですが、市場によっては、議決権行使を制限する特定の障害がある場合があります。例えば、議決権行使関連文書の配送遅延、早すぎる行使手続締切日、委任状や株式再登録の要請、その他独特の要請などです。そのような場合、MFSでは本ガイドラインに従って、最善を尽くす限度で投票を行います。

合併、買収、その他の特別な取引

MFSは、合併、買収、企業資産、株式、負債の売却、その他所有者利益に潜在的に影響のある取引については、個別に検討します。

B. 管理手順

1. MFS議決権行使委員会

本方針及び手続の管理については、MFS法務部及びMFSグローバル・インベストメント・サポート部門並びに運用部門を含む、MFS議決権行使委員会が監督しております。MFS議決権行使委員会は、顧客リレーション、マーケティング、営業部門に主として籍を置く個人を含みません。 MFS 議決権行使委員会は以下のことを行います。

a. 本方針及び手続について年に1度以上見直しを行い、必要または望ましいと思われる変更点があれば勧告する

b.以下の議案について、重大な利益相反が存在するかどうか判断する。 (i) MFSが本ガイドラインを無効にしようとする場合、 (ii)本ガイドラインが議決権行使について明確に規定していない場合、(iii)取締役選任に関して過剰な役員報酬問題について検討する場合、もしくは(iv)MFSのポートフォリオ・マネージャー、アナリストから助言を受ける場合(買収案件など)。

c. 議決権行使について特別な問題が生じた場合にはその都度検討する。

d. 議決権行使に関してエンゲージメントの優先事項と戦略方針を決定する。

2. 利益相反の可能性

MFS議決権行使委員会は、MFSのお客様の代理として議決権行使を行う際に生じうる、MFSまたは、その関係者の側の重大な利益相反の可能性について監視する責任を負うものです。MFSでは資産運用ビジネスに特化しているため、実際には利益相反の可能性は小さいと信じています。しかしながら、全ての議決権行使が株主の最大の長期的利益となるよう事前の予防をしなくてはなりません1。MFSの社内規定では、MFSの従業員全ては、個人の行動とMFSのお客様との利益相反を避けることを求めています。もし仮に従業員(運用担当者を含む)が議決権行使(運用ポートフォリオに株式保有する判断も含む)に関して利益相反を認識した場合、その従業員は議決権行使の過程から離れなければなりません。

特定の議決権行使項目についてMFSの議決権行使に不当な影響を及ぼそうという動きがあった場合には、必ずMFS議決権行使委員会に報告しなくてはなりません。

本方針及びガイドラインに従って議決権行使が行われる場合には、利益相反はないものと見なされます。 (i)MFSが本方針及びガイドラインを無効とすることを検討している場合、 (ii)議決権行使に付された事項が、本方針及びガイドラインに規定されていない場合(iii)取締役選任に関して潜在的に過剰な役員報酬、顧問報酬、もしくは退職時手当てについて検討する場合、もしくは(iv)MFSのポートフォリオ・マネージャー、アナリストから助言を受ける場合(買収案件など)(以上を総称して 「非標準投票」といいます。)には、MFS議決権行使委員会は以下の手続を取ります。

a. 当該の委任状の発行人の名前を、現在及び将来的に重要な (i)MFSファンドの販売業者、(ii)MFSIの法人顧客リスト (「MFS重要販売業者・顧客リスト」)と比較する。

b. 発行人の名前がMFS重要販売業者・顧客リストに記載されていない場合には、重大な利益相反はないものと見なされ、MFS議決権行使委員会が別途判断するところにしたがい議決権行使が行われる。

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1 MFSのお客様が同じ発行体の「ショート」ポジションを保有しているかどうか、または、株主総会で議決権を持たない会社(社債保有者など)の株式を保有しているかどうかにかかわらず、MFSがお客様にとって最大の長期的利益となると考える議決権行使を行うことにご留意ください。

c. 発行人の名前がMFS重要販売業者・顧客リストに記載されている場合には、議決権行使が最終的にはMFSが企業としての利益ではなく、お客様の最善の長期的、経済的利益にかなうと考えるところに従ってなされるよう、MFS議決権行使委員会(MFSコンフリクトオフィサーも出席)が議決権行使案を慎重に評価する。

d. 上記 (c) 項に記載する、あらゆる重大な利益相反の可能性について、MFS議決権行使委員会が、発行人の名前、発行人のMFSとの関係、議決権行使に付された事項の分析結果、及び最終的になされた議決権行使がMFSの企業としての利益ではなくMFSのお客様の最善の長期的、経済的利益にかなうように議決権行使されたとする判断の根拠について記録する。記録の写しはMFSコンフリクトオフィサーへ転送される。

MFS議決権行使委員会のメンバーは、 MFSの販売、法人事業部門と協議の上、MFS重要販売業者・顧客リストの作成と維持を担当しております。MFS重要販売業者・顧客リストについては、適宜、定期的な見直し及び更新を行っております。

MFSファンドの取締役もしくは受託者でもある者を、取締役候補として検討する場合、MFS議決権行使委員会は、該当企業がMFS重要販売業者・顧客リストに記載されているか否かにかかわらず、上記(d)項に記載する手続きに従います。

MFSの顧客が、サンライフ・フィナンシャルもしくはその関係会社(「サンライフ」)から、株主に対して提案された議案の投票権を有している場合、MFSは顧客の代わりに、顧客の指示に従って、指示がない場合はインスティテューショナル・シェアホルダー・サービス(ISS)の基本方針、もしくは法令の要請に従って、投票します。同様に、MFSの顧客が、MFSファンドの取締役もしくは受託者が執行役員などとして務めている上場企業から、株主に対して提案された議案の投票権を有している場合、MFSは顧客の代わりに、顧客の指示に従って、指示がない場合はインスティテューショナル・シェアホルダー・サービス(ISS)の基本方針、もしくは法令の要請に従って、投票します。

尚、ある種のMFSファンド(「最表層ファンド」)が他のMFSファンド(「原資産ファンド」)の受益権を購入する場合があります。その場合、原資産ファンドが議決権行使の投票を行ったとすると、最表層ファンドは原資産ファンドのその他の受益者と同様に、議決権行使の投票が行われます。原資産ファンドにその他の受益者が存在しない場合、最表層ファンドは、最表層ファンドの長期的経済利益に適うとMFSが信じる方針で投票を行います。

3. 委任状の収集

MFSの受取る委任状の大半は、ブロートリッジ・ファイナンシャル・ソリューソンズ(「ブロートリッジ」)によって作成されますが、少数の委任状については、証券保管機関を通じて、発行企業から投資家に渡されます。ブロートリッジその他の業者は、カストディアンに代理して、委任状、及び、関連資料をMFSのお客様が受益権者として保有する株式の記録の保有者、通常はお客様の保管機関か、もしくは、それほど一般的ではありませんが、お客様ご自身に直接送付します。この書類には、株主総会に向けて基準日におけるファンドやお客様の正確な株式保有について記載した議決権行使用紙、及び、議決権行使される事項について発行企業が説明した資料が含まれます。

MFSでは、自身及びファンドの代理として、独立した議決権行使管理会社と契約を結んでおり、議決権行使管理機関では、その契約に従いMFSのファンドや法人のお客様の勘定について、議決権行使の処理や記録管理の様々な業務を行います。議決権行使管理機関はインスティテューショナル・シェアホルダー・サービス(ISS)です。

議決権行使管理機関は委任勧誘状及び議決権行使用紙を直接もしくは間接に各種保管機関から受取り、これらの書類を自社のデータベースに記録し、MFSの保有データフィードにより、これから予定されている総会と議決権行使管理機関のシステムに入力されているMFSファンド及びお客様の保有ポートフォリオを照合します。 議決権行使管理機関のシステムを利用することにより、MFSの従業員及びMFS議決権行使委員会は、企業の次回の株主総会の議決権行使用紙や委任書類の概要の全てをオンラインで見ることができ、議決権行使の大半はコンピューターによって行うことが可能です。

議決権行使管理機関の責任において、投票結果は監視されます。投票用紙と関連情報が議決権行使管理機関に受領された時点で、その情報はオンラインに入力されます。議決権行使管理機関は、MFS口座一覧として、株主総会に対応した時点での口座毎の持株比率、持株数が把握します。もし投票用紙等が未着の場合、議決権行使管理機関はカストディアンに対して、その理由を要求します。

4. 委任状の分析

議決権行使はMFS議決権行使に関する方針及び手続きに従って行われます。議決権行使管理機関は、MFSによって定められた議決権行使に関する方針及び手続きに照らして特段の検討、判断を要しない議案については、自動的に議決権行使を行います。このような状況の下、議決権管理機関がMFSの事前の指示に基づいて、会社提案議案に反対票を投じることが想定される場合で、MFSが株主総会での議決権行使期限前に発行体が十分な追加的説明資料を提出した、もしくは、提出予定であることをMFSが知り得た場合、MFSは、議決権の行使にあたり、こうした情報を考慮するものとします。特段の検討、判断を要する議案については、MFS議決権行使委員会もしくはその代表者が議案の検討と議決権を行使します。MFSは、すべての議案を分析するにあたり、様々な資料や情報を利用します。これには、発行体の議案およびその他の議案についての説明資料(補足資料を含む)、MFS独自の社内調査、他の第三者による調査および推奨(議決権管理機関の調査を含む)が含まれますが、限定されるものではありません。ここで記載されているように、MFSは、議決権行使委員会のメンバーもしくはその代表者が、企業と議案について対話することが議案の分析に有益であると判断する場合もあります。また、MFSは(1)過剰、もしくは投資先企業の事業や株主との整合性に欠ける役員報酬プランを取締役会が承認するような状況、(2)更なる検討が必要な環境、社会、ガバナンス関連の提案、(3)非米国企業が現地のガバナンスや報酬のベストプラクティスを遵守していない状況を特定するために、議決権行使管理機関もしくは第三者ベンダーの調査を利用します。MFSはこのような問題を独自に分析しており、必ずしもISSやグラスルイス社の推奨に通りに賛同するものではありません。MFS議決権行使委員会の代表者は、MFS議決権行使に関する方針及び手続きとの適合性を確認するため、必要に応じて行使を検討します。

特定の議案の行使(M&A、委任状争奪戦、資本政策関連など)について、MFS議決権行使委員会もしくはその代表者は、MFSのアナリストもしくはポートフォリオ・マネージャーに、助言を求めることがあります

2。同様に、議決権行使の方針に基づいて個別の分析を必要とする議案の場合 (潜在的な過剰な役員報酬問題、株主提案等)においては、MFS議決権行使委員会もしくはその代表者がポートフォリオ・マネージャーもしくはアナリストに相談することもあります。ただし、最終的にはMFS議決権行使委員会がすべての議決権行使の意思決定について責任を負います。

上に述べたように、MFSの最良の判断において、ガイドラインを無効にすることがお客様の最善の長期的、経済的利益にかなうように議決権行使を行うという基本理念に合致する場合には、MFSではガイドラインを無効とする権利を留保します。ガイドラインを無効とする場合については、すべて本方針に定める手続に従い調査、説明、報告が行われます。

5. 議決権行使

議決権行使管理機関は、MFSとの契約に従いMFS議決権行使委員会のために各種報告書を作成し、MFS議決権行使委員会もしくはその代表者がお客様に代わって議決権行使管理機関によって行われた議決権行使をモニターできるように、他の様々な情報をオンラインで提供します。

株主の投票権を確定する「基準日」データが活用できる市場においては、お客様が株主総会日以前に株式を売却していたとしても、投票権がある場合は、原則としてガイドラインに沿って議決権行使を行います。

6. 証券貸付

一部のMFSファンドが、証券貸付プログラムに参加する場合があります。MFSもしくはその代理人は、ある米国企業から株主総会の通知を適時に受領した場合、総会の株主基準日以前に、証券貸付の回収を試みます。しかし、場合によっては、MFSもしくはその代理人は、証券貸付の回収を適時にできないことがあり、その場合MFSは議決権の投票はできません。MFSは、証券貸付の回収を適時にできないことを、MFSファンドのボードに報告します。MFSでは、原則として、非米国企業の発行証券の場合、回収は行いませんが、それは、議決権行使書類が事前に届かないとか、基準日の問題、あるいは市場で適時に自動的に回収を行うにはカットオフ日付が問題となるためです。その結果、非米国企業の発行証券が、証券貸付されていた場合、原則として投票はされません。もしMFSが通常と異なる重要な投票に関する通知を適時に受領した場合、それが証券貸付されている非米国企業の発行証券であっても、投票が株主の最大な長期的経済利益である場合は、MFSは証券貸付の回収を試みます。

7. エンゲージメント

MFS議決権行使に関する方針及び手続の内容は、mfs.comに掲載されており、MFSのお客様や、投資対象の企業からもご覧頂くことができます。MFSは、環境、社会、ガバナンス問題を含む一定の議決権行使については、企業もしくは他の株主との対話もしくは書面によるコミュニケーションを行うことが適切かつ有意義だと判断することがあります。企業や株主は、正式な株主議決権行使に先立って、一

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2 出張やその他の予定により、適切なポートフォリオ・マネジャーやリサーチ・アナリストが助言できない場合があります。株主総会の締切日前の合理的な時間内に助言が得られない場合、MFS議決権行使委員会は議決権行使の棄権を決定することができます。

般的な問題を検討したり、意図する提案内容への支持を把握するために、

MFS議決権行使委員会の委員や議決権行使チームとエンゲージメントを求めることができます。議決権行使委員会はエンゲージメントに関する目標設定やその年の優先事項を決定します。議決権行使に関してMFSが求められるエンゲージメントについての情報、並びにMFSのエンゲージメントに関する優先事項についての詳細は、mfs.comにて最新の議決権行使・エンゲージメントに関するレポートをご覧ください。

C. 記録の保持

MFSでは随時有効な本方針、及び手続の写しを保持し、また、MFSファンドの受託委員会に提出された委託議決権行使に関する報告書についてはすべて法定期間保持します。MFS議決権行使委員会がそれぞれの注釈やコメントを添えて記入した電子形式の議決権行使カードを含む委任書類、議決権行使管理機関により電子フォーマットで保存され、MFS議決権行使委員会はオンラインで閲覧することが可能です。処理された委任状、委任状の受取日と返送日、各社の議決権行使事項に対する議決権行使に関する議決権行使管理機関のシステムによって作成された記録を含め、議決権行使書類及び関係書類は、すべて法律に準拠して保存されます。

D. 報告

米国登録のMFSファンド

MFSでは四半期毎に、米国登録MFSファンドの受託委員会に対し、MFSによる議決権行使結果の報告を行います。報告には (i)議決権行使(役員報酬、ゴールデンパラシュートへの諮問投票を含む)をどのように行ったかの要約、(ii) 経営者による提案への反対票に関する要約、(iii) MFSがガイドラインに従わずに議決権行使を行った場合の状況についての論評、及び、その根拠、(iv) MFSが重大な利益相反を見出すために用いた手続の見直し、(v)本方針及びガイドラインについての論評、(vi)議決権行使代理事務についての見直し、(vii)米国発行体のローン債権未回収の場合の影響調査と報告、また、(viii)必要に応じて、コーポレート・ガバナンス他の問題の新たな動きを反映するための修正案が含まれます。 米国登録MFSファンドの受託者及び運用担当者は、必要または適切と思われる範囲で、これらの論評に基づき本方針の修正案について検討します。

MFSが投資顧問を務めるお客様

MFSでは、関連法令による要請に基づいて、議決権行使の記録もしくは結果を公表することがあります。また随時MFSに行った議決権行使の記録を提出するよう求めるお客様のために、報告書を作成することがあります。 この報告書には、その年の間にそのお客様の代理として議決権行使を行った議決権行使事項及び各事項について取った見解について記載しております。

全社的な議決権行使記録

MFSは、全社的な議決権行使記録を四半期毎に公開しています。

原則として、MFSでは、情報はお客様に属するものであり秘密を保つべきと考えていることから、お客様またはその代表者以外の者に対し実際の議決権行使行為を明らかにすることはありません。しかし、上記の通りMFSでは、一定の議決権行使については、企業と対話することが適切かつ有意義だと判断することがあります。その企業との対話の過程で、MFSは、投票の意思に関して開示することがありますが、それは、環境、社会、ガバナンス問題に関して、企業が態度を好転させる可能性がある効果を意図する場合です。

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