AIブームが崩壊しないかもしれない4つの理由
執筆者
James Wilson, CFA
シニア・ストラテジスト
インベストメント・プロダクト・
スぺシャリスト
当四半期は、ほぼすべてのお客様からAIバブルのリスクについての質問を受けました。多くの方々がドットコムバブル期との類似点を指摘しています。一見すると、AIバブルもドットコムバブルも、需要が急速に追いつくとの期待の下に大量の供給体制を整えたという点では、確かに似ているように思われます。
ドットコムバブル期には、インターネットの普及が過剰に楽観視され、それに基づき光ファイバーケーブルのインフラ整備が進められました。一方で現在は、楽観的なAI普及予測に基づき、データセンターのコンピューティング容量の拡充が進められています。
懸念事項:企業は想定需要を取り込もうとインフラ構築を急いでいるが、その需要は期待したほどの速さでは発生せず、市場の混乱につながる可能性があるのではないか?
正直なところ、「分からない」というのが率直な答えです。しかし、これについてお客様と議論するにあたり、4つの懸念点があると考えています。
懸念1:データセンターへの投資額は前例のない金額に上っている
直近の決算説明会でのコメントによると、データセンターへの資本支出は依然として増加基調を辿っており、図表1に示した5社の2026年の支出額は合計で約5,000億ドルに上る見込みです。
これは大きな金額ではありますが、経済成長を考慮することが重要です。推計によると、米国のAI支出はGDPの1%から1.5%相当で、これはドットコムバブル期や19世紀の鉄道建設期(当時のGDPの約5%に達した)など、過去の異例の投資サイクルと比較しても許容できる水準と言えます。
懸念2:巨額の支出で米大手テクノロジー5社のリスクが大幅に高まっているのではないか
現在の超大型テクノロジー企業は、強固なバランスシート、潤沢なキャッシュフロー、高い収益性など、ドットコムバブル期と比べてクオリティが高く、ファンダメンタルズも強固であると考えています。さらに、現在の資本支出は主にキャッシュフローによって賄われており、2000年当時のように借入に依存しているわけではありません。
懸念3:近年の好調なパフォーマンスを受け、テクノロジー5社のバリュエーションは割高となっているのではないか。
2000年3月当時、大型テクノロジー株のバリュエーションは今よりはるかに高く、株価収益率(PER)が株価リターンの原動力となっていました。現在、収益予想は継続的に上方修正されており、PERの上昇ペースは当時ほど急速ではありません。
CiscoとNvidiaを例に比較してみるとわかりやすいかもしれません。ドットコムバブル期においてCiscoは顕著にアウトパフォームしましたが、その際、大幅増益を達成すると同時に、PERは約120倍にまで上昇しました。一方、Nvidiaの2023年初以降の好パフォーマンスは全て利益によって牽引されたもので、PERはむしろ低下しています。
懸念4:AI需要が供給への投資を正当化できない可能性
前述のとおり、ドットコムバブル期には、インターネットの大幅な成長を見越して巨額の投資が行われました。その成長は最終的に実現しましたが、問題は、予想よりはるかに時間がかかったことでした。具体的な数字を挙げると、インターネットユーザー数が世界で10億人に達するまでに16年を要しました。
当時と今日との違いは、今日では社会にデジタルインフラがすでに整備されており、人々がよりテクノロジーに精通し、新たなテクノロジーを迅速に受け入れる体制が整っている点です。例えば、ChatGPTは登場から3年未満ですでに全世界で8億人のユーザーを獲得しています。またGeminiは登場してから2年未満で6億5,000万人のアクティブユーザーを獲得しました。
我々の見解
MFSのグロース・エクイティ運用チームは、ポートフォリオ・マネジャーのBrad Mak、Tim Dittmer、Eric Fischman共に、AI利用者の伸びは今後数年間にわたり継続すると考えており、AIインフラ投資の恩恵を受ける企業に対して建設的な見通しを維持しています。半導体(生産、製造および設計)、データセンター、ITインフラといったAIインフラ投資に直接に関連する分野に加え、足元の環境下で大きな制約要因とみなされている発電事業(天然ガスタービン、電気部品、原子力を含む)に間接的に関わる企業などもこれに含まれます。
サイクルがいずれ終息することは認識しつつも、サイクルがいつまで続くのかは依然不透明です。グロース株式運用チームは、主要データポイントを今後も日々監視し、需要の推進要因や設備投資サイクルの持続性を評価してまいります。
すべての投資には、投資元本を割り込む可能性等を含む一定のリスクが伴うことにご留意ください。
当レポート内で提示された見解は、MFSグロース・ファンド・チームのものであり、MFSのポートフォリオ・マネジャーおよびリサーチ・アナリストの見解と異なる場合があります。これらの見解は情報提供のみを目的としたもので、特定証券の購入、勧誘、投資助言を意図したものではありません。予想は将来の成果を保証するものではありません。予想は将来の成果を保証するものではありません。
分散投資は利益を保証するものでも、損失を防ぐものでもありません。過去の運用実績は将来の運用成果を保証するものではありません。