AIの推進力:エネルギーが再び注目される理由
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概要
- 求心力は電力に:電力は伝統的に変動の小さいセクターでしたが、人工知能(AI)やその他の電化推進要因により、成長分野へと変貌しています。今や需要の増大や投資可能な成長の主流は石油から電力へと変わりつつあります。
- 投資機会はエネルギー・セクター以外にも:供給のボトルネックの恩恵を受けている、業績の強い企業や改善が進んでいる企業に投資しています。送電網関連、独立系発電事業者、天然ガスのミッドストリーム/輸送、規制対象公益事業など、今後恩恵が及ぶと考えられる分野を選好しています。
- 時間軸と変化する市場環境に注意が必要:需給バランスは良い方向にも悪い方向にも変化しうる上、技術開発が状況を大きく変える可能性があります。成功の鍵は、供給のボトルネックや需給の変化に柔軟に対応可能な、持続性のあるビジネスモデルを持つ企業を特定できるか否かです。
- 地域格差とボトルネックが分散の要因:地政学的要因、インフラ投資、そして各地域で異なるエネルギー移行へのアプローチが市場間の差異を生んでおり、長期的なリターンを獲得するためには銘柄選択と徹底的な分析が不可欠です。
エネルギーの需要と供給が変化する中、投資家はエネルギー・セクターに新たな目を向けています。当レポートでは、エネルギー・セクターのチームリーダー兼ポートフォリオ・マネジャーであるJude Jasonが、エネルギー移管を推進する要因や、供給のボトルネックが生じている中でも持続的な投資機会を見出せる分野について解説します。
求心力は電力にあり
エネルギー・セクターは、人工知能(AI)の台頭によって劇的に加速する電化の潮流を背景に、変革の只中にあります。この変化は、電気自動車の普及、産業のリショアリング(国内回帰)、製造業や建物の電化の進行によってさらに加速しており、その結果、電力需要と収益成長が従来の水準を上回るなど電力セクターは上昇に転じています。
投資への実践:
従来型のエネルギー企業にとどまらず、電化による恩恵を享受できる企業にも注目します。石油が枯渇する可能性は低いものの、今後は需要増大と投資可能な成長が見込める分野を見分けることになるでしょう。
ボトルネックが3つの持続性のある投資機会を創出
主な課題は電力供給に必要な設備を迅速に整えられるかという点で、送電網への接続申請に長い時間がかかること、変圧器やガスタービンのリードタイムの長さ、熟練労働者(電気技師、溶接工、配管工)の不足、電力料金が上昇した場合には費用負担や政治的配慮等がネックとなります。短期的にはバックアップ発電や革新的なエネルギー調達などで柔軟に対応しており、併せて長期的な解決策の構築も進行中です。
投資への実践:
ボトルネックを乗り越える、またはボトルネックの解消に寄与することができる企業、例えば独立系発電事業者、変圧器、スイッチギアや保護・制御システムなど送電網関連の企業、送電網の拡大に伴う天然ガスや液体天然ガスのエコシステム関連企業にも、投資対象を広げるのが賢明です。
ダイナミクスが変動する中、投資期間が重要
エネルギー移行への投資の成否は、投資期間に大きく依存します。
- 短期(0~2年): 「利用可能なあらゆる手段」の活用に伴い、太陽光、蓄電池、ガス関連企業が恩恵を受ける可 能性
- 中期(2~5年): 送電網の近代化やエネルギー貯蔵に関連する企業の魅力が増す可能性
- 長期(5~10年以上):技術・公益事業・政府のパートナーシップモデルは、小型モジュール炉が現実的かつ費用対効果の高いエネルギー源となる可能性を高めるものの、広範な投資対象となるには標準化とより明確な経済的合理性が求められる
投資への実践:
エネルギー・セクターへの投資では長期的な視点に立ち、忍耐強く取り組むことが重要です。サイクルを常に監視し、堅調なファンダメンタルズと市場の認知に時差が生じる局面に備えます。景気循環が進行してゆく中、アクティブな運用と徹底したリサーチが重要となります。
地政学的要因やインフラなどの地域差に注意
エネルギーの移行状況は各地域で異なります。AI競争や国家安全保障への懸念がエネルギーインフラ投資に拍車をかけており、米国が知的財産、中国が発電容量の拡大においてそれぞれ主導的な立場にあります。欧州は、天然ガス不足や積極的なインフラ投資の必要性といった固有の課題に直面しています。こうした差異は、投資機会や投資家のリスク特性に影響を与えます。
投資への実践:
各地域の実情に合わせて運用戦略を調整する必要があります。米国では、AIによるエネルギー需要の拡大やインフラ整備の恩恵を受ける企業に注目します。欧州では、再生可能エネルギー、液化天然ガス供給および送電網の更新に関連する事業に注目します。また中国では、発電容量の拡大やテクノロジー導入の動向に注目しています。
結論
エネルギー・セクターの投資機会は急速に変化発展していますが、それに伴いリスクも高まっています。投資にあたっては、クオリティと持続性を重視し、真のボトルネック解消に整合するエクスポージャーを追求し、投資時間軸の規律に沿うことが賢明であると考えます。供給、政策、テクノロジーが進化する中、勝者と敗者の格差が広がることから、アクティブな銘柄選択と慎重なポートフォリオ構築がますます重要となるでしょう。
当レポートの中の意見はMFSの意見であり、予告なく変更されることがあります。また、これらの見解は、投資助言、銘柄推奨、あるいはMFSの代理としての取引意思の表明と解釈されるべきではありません。