GEOPOLITICS & MARKETS
中東紛争:投資家にとっての視点整理
2026年03月
本稿では、過去の紛争、およびそれを受けた市場の混乱の中においても、市場が強靭性を発揮してきたことについて述べます。
MFS マーケット・インサイト・チーム
ボラティリティの上昇 は一時的であり、構造的なものではない
- 地政学的ショックは市場に短期的な調整局面をもたらすことがありますが、構造的な市場環境の変化に直結するケースは限定的であることが過去の事例から確認され、現時点で今後の見通しは不透明です
- 実際、過去約75年間に発生した22件の地政学的衝突のうち、19件では発生から12カ月後の株式市場は上昇しています*
- 米国は建国以来、250年のうち200年以上において何らかの紛争状態にありましたが、こうした環境下においても市場は長期的に安定した成長を示してきたという歴史があります
市場への影響は、主に原油価格を通じて波及
- エネルギー価格の動向が、市場の反応を左右する主な要因となります
- 原油価格の上昇は、インフレ期待の高まりや経済の先行き不透明感をもたらします
- 米国は純エネルギー輸出国であり、経済のエネルギー集約度は1970年代と比べて約58%低下しています
経済のファンダメンタルズは概ね維持されているが、ストレス要因も想定される
- 企業のバランスシートは総じて健全な状態を維持しています
- AI投資やリショアリング(生産拠点の国内回帰)などの中長期的な構造要因に変化は見られません
- 足元の市場は、経済や企業収益の先行き不確実性に反応している段階にあり、現時点では実体経済の成長はまだ鈍化していません
紛争の継続期間が市場への影響を左右
- 市場への影響の度合いは、混乱がどの程度の期間継続するかに大きく依存します
- 緊張緩和が進めば、原油価格やリスク資産は比較的速やかに安定する可能性があります
- 日々のニュースに過剰に反応することは避けるべきです
投資にあたっての留意点
- 市場環境が急速に変化する局面では、長期的に価値を積み上げる質の高い企業に着目することが重要です
- 一般に、景気変動の影響を強く受けやすい企業への投資は慎重に判断することが望まれます
- 短期的な市場のタイミングを図るよりも、市場に継続的に投資し続けることが、長期的には重要と考えられます
地政学的な紛争は、発生しない年よりも発生する年のほうが多いことを改めて認識することが重要です。その影響は概ね短期的にとどまる傾向があり、長期投資の観点では、構造的な市場の変化というよりも、一時的な地政学的ショックと捉えるのが妥当と考えられます。市場の長期的な方向性においては、地政学よりも景気循環のほうがより重要な要因になると考えられます。
*出所:Morgan Stanley Wealth Management Global Investment Office、Morgan Stanley Research、Bloomberg。1950年1月1日から2026年2月28日までの月次データ。
平均リターンは、1950年以降の各期間について、地政学的イベント発生後のリターンの平均として算出しています。最高値および最低値は、1950年以降の地政学的イベント発生後のリターンのうち、それぞれ各期間で最も高いリターンと最も低いリターンを示しています。1950年以降発生した地政学的イベントの件数は22件です。リターンはグロスの米ドルベース。
当レポート内で提示された見解は、MFSディストリビューション・ユニット傘下のMFSストラテジー・アンド・インサイト・グループのものであり、 MFSのポートフォリオ・マネジャーおよびリサーチ・アナリストの見解と異なる場合があります。これらの見解は予告なく変更されることがあります。また、これらの見解は情報提供のみを目的としたもので、投資助言、銘柄推奨、あるいはMFS の代理としての取引意思の表明と解釈されるべきではありません。
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