米国とイスラエル、イランに軍事攻撃
執筆者
MFS マーケット・インサイト・チーム
概要
- ホルムズ海峡のタンカー往来停止がエネルギー価格に大きく影響を及ぼしています。
- イランによる湾岸地域内の石油施設への攻撃は、現時点では限定的です。
- 保険会社がタンカーへの保険サービスを停止したことなどを受け、天然ガス価格が急騰しています。
- イランの新政権発足に伴う外交的出口戦略の可能性が注目されます。
2月28日、米国とイスラエルはイランに対する大規模な軍事攻撃を開始しました。イスラエル軍はイラン最高指導部の会合を攻撃し、最高指導者アリ・ハメネイ師を殺害しました。これに対し、イランはイスラエルと湾岸近隣諸国に対し、ミサイルとドローンで報復攻撃を行いました。これまでのところ、攻撃対象は軍事施設と民間施設が中心で、エネルギー施設への攻撃は概ね回避されています。トランプ米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相は、それぞれイラン国民に対し蜂起を呼びかけました。イラン指導部が流動的な状況にあるなか、新たな指導部の体制が、今後の外交政策の見通しを左右する決定的な要因となるでしょう。
欧州ガス価格に影響
2022年にロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、欧州は天然ガス輸入の多くを中東産に切り替えてきました。エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡付近でイランが4隻のタンカーを攻撃するなど最近の一連の事象を受け、世界の保険会社は湾岸海域を航行する船舶向け戦争保険の引き受けを停止しました。そうしたことを受け、また例年在庫が低水準となる時期であることもあり、欧州では天然ガス価格が急騰しました。世界の原油の約5分の1が同海峡を日常的に航行しており、供給の混乱が長期化した場合には、インフレ圧力が高まる可能性があります。実際、2月28日以降の一連の動きを受け国債利回りは上昇しており、地政学的なイベントに対する市場の反応としては異例の事態となっています。
混乱が長期化するか否かが重要に
地政学的イベントは、経済のファンダメンタルズを損なわない限り、市場への影響は時間の経過とともに限定的となる傾向があります。そのため、この紛争がどの程度の期間続くのかが、その後の世界経済への影響、特に湾岸地域からのエネルギー供給の動向を左右する極めて重要な要因となります。
グローバルな分散投資が鍵
地政学的リスクを事前に回避することが困難であることは、歴史的にも示されています。そのため、足元のイベントは、グローバルな分散投資が重要であることを改めて浮き彫りにしていると言えます。資産クラス、地域、通貨およびセクターにポートフォリオを分散させることが、複雑なグローバル市場に対処するうえで有効となり得る戦略であると考えられます。さらに、リスク管理の重要性の観点からも、アクティブ運用アプローチが不可欠であると我々は考えます。
当レポート内で提示された見解は、MFSディストリビューション・ユニット傘下のMFSストラテジー・アンド・インサイト・グループのものであり、MFSのポートフォリオ・マネジャーおよびリサーチ・アナリストの見解と異なる場合があります。これらの見解は予告なく変更されることがあります。また、これらの見解は情報提供のみを目的としたもので、投資助言、銘柄推奨、あるいはMFSの代理としての取引意思の表明と解釈されるべきではありません。予想は将来の成果を保証するものではありません。
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