MFSインベストメント・マネジメント 責任投資の基本方針

MFSの責務は、責任を持った資本配分を通じて価値を創造することです。MFSのお客様は、長期的な投資目標の達成のためにMFSを資産の運用管理者として採用されます。この目標を達成するため、MFSでは長期的な競争優位性を持つ発行体に焦点を当てた投資アプローチを採用しています。財務的に重要なESG課題の分析およびエンゲージメントに関する洞察を投資の意思決定にインテグレーションすることは、健全な投資運営とともに、お客様の目標を達成し受託者責任を果たすために不可欠な要素であると考えています。この責任を持った取り組みを確かなものとするため、「責任投資の基本方針」(以下、「当方針」といいます。)を定め、ESG課題を運用プロセスや積極的株主行動に長期的なエンゲージメント活動をインテグレーションするための枠組みを示します。

ESG課題の運用プロセスへのインテグレーション

MFSは、発行体の長期的な価値に影響を及ぼす可能性があると考える、財務的に重要なESG課題を運用プロセスにインテグレーションしています。ESG課題をはじめとした財務的に重要なリスクと機会を考慮している発行体は、長期的にボラテリティを低く抑えながら高いリターンを生み出す可能性が高いと考えます。通常、株式および債券の投資分析においてESG課題をインテグレーションしますが、状況によっては、他の資産クラスに拡大してESG課題をインテグレーションする場合があります。

ESG課題の分析においては、運用部門のメンバーを支援するため、MFS独自のESGリサーチや分析を補完する発行体の報告データや第三者プロバイダーのデータを利用します。また、運用部門には、ESGの専門知識を持つ専任アナリストらがおり、MFSグローバル・リサーチ・プラットフォーム全体の中でESGに関連する課題の評価をサポートします。

運用部門の各メンバーがファンダメンタルズ分析にどの程度ESG課題を考慮しているか、またESG課題がどの程度ポートフォリオの投資リターンに影響を及ぼしているかは、投資戦略、資産クラス、地域エクスポージャー、銘柄固有のESG課題に対する各メンバーの見解や分析など、多くの不確定な要因に依ります。

スクリーニング、ESGに関連する制限

MFSの投資原則、目的を重視する企業文化と受託者責任に鑑みると、ポートフォリオからセクターや産業を除外するエクスクルージョンよりも、長期的にエンゲージメントする方がより良い現実的な結果を生む可能性が高いと考えます。また、建設的かつ長期的なエンゲージメントと議決権行使が、お客様への最善の成果のご提供につながると考えます。そして、企業には短期的な利益の最大化ではなく、長期的な価値を創出することを期待しています。MFSは責任あるアクティブ運用マネジャーとして、発生しうるあらゆるESGリスクを単純に回避することは出来ないと考えます。その代わり、投資先企業がESGの機会を活かしながら、ESGリスクを管理できる体制を確保することに全力を注いでまいります。

MFSは、お客様から指示された場合または適用される法令を遵守する必要がある場合にのみ、ESG関連の制限またはスクリーンニングを行います。例えば、クラスター爆弾の使用、開発、生産、取得、備蓄、保持および移転する発行体への投資は、そのような投資を禁じる法令が制定された国のお客様の口座では制限されます。一方で、MFSは法域特有の規制や現地市場の選好や需要により、ESGに焦点を当てた戦略の開発またはESG投資に関する基準を組み入れることがあります。

上記の通り、MFSはESGインテグレーションにおいて、運用商品ではなく、運用プロセスに常に重点を置いています。MFSが意図するのは、独自のESGに関する知見を生み出し、それをすべての投資戦略で共有することです。限られた状況において、ESGに焦点を当てた戦略を開発したり、法域特有の規制や他の要因の結果としてESG投資に関する基準を組み入れる場合もありますが、MFSのESGリサーチの根幹を成すのは、株式および債券戦略のすべてにおいて、常に世界的なレベルでインテグレーションを達成することです。

ESG課題の積極的株主行動への組み入れ
議決権行使

MFSに議決権を委任されたお客様が保有する有価証券に関する議決権行使においては、ESG課題を考慮して行使判断を行います。議決権行使はMFS議決権行使委員会が監督しており、「議決権行使方針および手続き」には、ESG課題を含む特定の課題に関する議決権の行使基準をガイドラインとして定めています。すべての議決権は、ESGや広範なステークホルダーの懸念が長期的な株主価値に影響を与えることが多いことを理解した上で、お客様の長期的な経済的利益のために行使します。MFSの議決権行使実務に関する詳細および「議決権行使方針および手続き」の最新版については、ウェブサイト(www.mfs.com)でご覧いただけます。

エンゲージメント

MFSは、発行体とのオープンなコミュニケーションが、株主としての重要な責務であると考えています。発行体とのエンゲージメントでは、発行体にとって重大なリスクと機会となりうるESG課題について意見交換し、そうした課題にポジティブな変化をもたらすことを目指します。長期的な視点を持つアセットマネジャーが、発行体とESG課題に関してエンゲージメントすることで、経営陣やその他の影響力のある関係者が、これらの課題を企業の長期的な経済的パフォーマンスに関連するものとして捉えるように働きかけ、ガバナンスやビジネス慣行にポジティブな影響を与えることができると考えます。MFSのエンゲージメント活動は、意見交換・モニタリング、そして実際の経済的変化という2つの目標に重点を置いています。

MFSのエンゲージメント・アプローチは、スチュワードシップ・チームを含む運用部門のすべてのメンバーが一丸となり、強力な協働体制に基づきます。運用部門は、投資先および投資先候補の発行体の経営陣とのミーティングにおいて、企業慣行やステークホルダーの価値についての理解を深めることができると判断した場合、重要な課題を提起します。また、ESG専任アナリストは、運用プロフェッショナルの経営陣との議論をサポートするため、ESGに関連する具体的な課題に焦点を当ててリサーチを行います。また、株主総会に提出された特定の議案についての理解を深めることができると判断した場合に、発行体やその他のステークホルダーとエンゲージメントを行います。また、正式な委任状勧誘に先立って、ESGに関連する特定の議案について、MFSの考えを意見交換するために発行体とエンゲージメントをすることもあります。

このような活動は、MFSの運用プロフェッショナルが単独で行うこともあれば、他の業界関係者と共同で行うこともあります。同じような考えを持つ運用会社やアセットオーナーと協働でエンゲージメントすることは、ESG 課題や、それらの問題を運用プロセスにインテグレーションする際に業界が直面する課題を理解する上で役立つことが多いと考えます。MFSは、特定のESG課題に関連する協働団体や組織に参加するか、または様々な共同イニシアチブに賛同するかを定期的に評価しています。また、MFSは業界団体と協力して検討が必要を思われる課題について規制当局と対話を図ることもあります。

ガバナンス体制

投資や株主活動にESG課題をインテグレーションするため、MFSでは3つの委員会を設置し、グローバルな委員会体制を敷いています。

  • インベストメント・サステナビリティ委員会(ISC) 
    ISCは、責任投資とエンゲージメントに関するMFSの基本方針の管理および実施に責任を負います。投資やエンゲージメントのプロセスにおけるESG課題のインテグレーション、スチュワードシップ・コードの遵守、運用部門主導の業界団体やイニシアチブへの加入について監督します。
    また、運用部門では、4つのワーキンググループを設置し、セクターチームや資産クラスの枠組みを超えて促進・強化しています。
    • 気候変動ワーキンググループ:気候変動に関する投資の意思決定とスチュワードシップ活動を支援し、強化するためのフレームワークの策定
    • ガバナンス・ワーキンググループ:株式投資および債券投資のリスクと機会を評価する際に使用する一連のガバナンスに関する原則とフレームワークの策定
    • 社会的インパクト・ワーキンググループ:社会的課題に関する投資の意思決定やスチュワードシップ活動を促進するためのガイダンスを策定
    • ソブリン・ワーキンググループ:投資の意思決定プロセスをサポート・強化するため、ESGの観点からカントリーリスクを評価し、ESGソブリンリスクのフレームワークを策定
  • コーポレート・サステナビリティ委員会(CSC)
    CSCは、お客様および企業のサステナビリティ戦略と方針の調整、お客様や企業に影響を与えるグループへの参加、ESG情報の開示や報告に対するお客様や規制当局からの要請について管理します。
  • MFS議決権行使委員会
    同委員会は、議決権行使活動を監督し、議決権行使ガイドラインである「議決権行使方針および手続き」を管理し、議決権行使にかかるエンゲージメントの目標と優先順位を設定します。

MFSでは上記の委員会を束ねる組織として、会長、CEO、社長、CIO、チーフ・サステナビリティ・オフィサー、ゼネラル・カウンセルなどの経営幹部メンバーで構成されるサステナビリティ・エグゼクティブ・グループ(SEG)を設置しています。SEGは、長期的なサステナビリティ戦略の策定、戦略の実施に関する助言と調整、サステナビリティに関連するプロジェクトの優先順位付け、およびリソースの配分に関する問題の解決を目的として少なくとも月1回、会合を開いています。

業界団体、イニシアチブ、行動規範

MFSは、企業や投資家のベストプラクティス、ESGインテグレーション、および議決権行使に関連する問題の改善やガイダンスの提供を目指す多くの業界イニシアチブ、組織・団体およびワーキンググループに積極的に参加しています。MFSが業界イニシアチブやその他の協働グループに参加する主な理由は2つあります。

  • 組織・団体やイニシアチブの活動や目標が、特定の課題に関するMFSのリサーチや財務的重要性の評価と一致している場合
  • イニシアチブや組織・団体が、MFSの運用またはスチュワードシップのプロセスを強化するリサーチやデータへのアクセスを提供しており、結果としてお客様の長期的な利益につながる場合

多くの業界団体やその他のイニシアチブが、投資や株主行動におけるESGインテグレーションに関連するスチュワードシップ・コードやガイドラインを採用しています。特定の規範やガイドラインの文言に従うことが、必ずしもお客様の経済的利益につながるわけではないと考えていますが、お客様の長期的な経済的利益や上記のMFSの方針に概ね合致すると考えられる範囲において、MFSはこうしたイニシアチブに賛同します。

しかしながら、重要なのはMFSの投資および議決権行使の判断は、規範やガイドラインの遵守によって左右されるものではないということです。MFSは、あくまでそれぞれの発行体を評価し、各発行体に関連する特定の状況に基づいて議決権を行使します。

ESG関連の組織・団体やイニシアチブへの参加状況は、ウェブサイト(www.mfs.com)にてご覧いただけます。

利益相反

MFSはお客様の最善の利益のために行動するという基本原則に則り、利益相反を管理するための方針(以下、「利益相反管理方針」といいます。)を定め、全社的に採り入れています。利益相反管理方針は、ESG課題を投資判断および株主行動にインテグレーションすることを含め、お客様にサービスを提供する通常の過程で生じうる利益相反を特定、防止、管理するための枠組みとなります。利益相反は、MFSが参加する共同イニシアチブや、同一企業の異なる資産クラスの保有など、様々な活動や相互作用において生じる可能性があります。こうしたリスクに対処するため、利益相反管理方針に従い、特定した利益相反に係る状況に応じて、回避(可能な場合)、開示、特定の利益相反に合わせた方針および手続きの実施、情報・物理的・業務運営上の障壁(倫理的な壁)、職務の分離などの様々な行動をとります。このコミットメントを実行するため、MFSは、お客様にサービスを提供する通常の業務の過程で発生しうる利益相反に関する考慮すべき事項を盛り込んだ、または該当する利益相反に対処し、軽減するために立案した情報連絡網を方針および手続きに定めています。

スチュワードシップ活動に関連する潜在的な利益相反

MFSは、スチュワードシップ活動に関連して生じる潜在的な利益相反を特定し、それらを軽減するための措置を講じています。例えば、MFSの投資活動、エンゲージメント活動、議決権行使において、MFSの親会社であるSun Life社(以下、「SL社」といいます。)は、MFSに影響を与える立場ゆえ、双方の間に利益相反が発生する可能性があります。そのため、MFSはSL社との間で倫理の壁(倫理的境界)に関する方針を保持し、SL社の役職員はMFSが投資運営する証券およびデリバティブの議決権行使や投資の意思決定に関与したり、議決権行使や投資の意思決定に影響を与える目的でMFSの個人に指示を与えることはできないと定めています。

議決権行使に関連する潜在的な利益相反

議決権行使においては、特有の利益相反が発生するおそれがあります。そのため、「議決権行使方針および手続き」(以下、「議決権行使方針」といいます。)において、議決権行使に関する潜在的かつ重大な利益相反の管理方法を定めています。MFSの議決権行使方針では、議決権行使に関する判断は、お客様の長期的な経済的利益に基づいて行うもので、MFSファンドの分配や機関投資家の顧客関係など、他の関係者の利益やMFSの企業利益を優先させてはならない旨を定めています。MFS議決権行使委員会のメンバーまたは議決権行使判断に関与する従業員(運用プロフェッショナルを含む)が、議決権行使の判断(個人ポートフォリオで保有する有価証券を含む)に関して個人的な利害関係を確認した場合、議決権行使プロセスに関与することは許されません。また、議決権行使委員会には、クライアントとのリレーションシップ・マネジメント、マーケティング、営業などを主な業務とする従業員は含まれません。さらに、(i)議決権行使方針に定められた特定のガイドラインを覆すことを検討する場合、(ii)議決権行使方針でカバーされていない議案を検討する場合、(iii)取締役選任に関連する過剰な役員報酬の議案、または顧問料や退職慰労金のセイ・オン・ペイ(諮問型投票)を評価する場合、(iv)運用チームとの協議が必要な議案を検討する場合、MFSは、その議案がMFSと重要な関係にある発行体に関与しているかどうかを確認します。利益相反の可能性があると確認した場合、MFS議決権行使委員会は、提案された議案がMFSの企業利益ではなく、お客様の長期的、経済的利益のために最善と考えられる方法で行使されるよう慎重に検討し、MFSコンフリクト・オフィサーに報告します。

報告

ESGに関連する投資やスチュワードシップ活動ついては、MFSが参加する協働団体や組織、あるいはMFSの事業活動を監督する規制当局の要請に応じて報告します。MFSの判断で、お客様、見込み顧客、その他の関係者にこうした報告書を共有する場合があります。また、MFSは、投資、議決権行使およびエンゲージメント活動にESG課題をインテグレーションする取り組みの最新情報を含む、年次および四半期のサステナブル投資報告書を公表しています。これらの報告書はウェブサイト(www.mfs.com)のサステナブル投資に関するセクションでご覧いただけます。MFSに議決権行使を委任されたお客様には、ポートフォリオの議決権の行使結果をまとめたサマリーレポートをご提供します。また、MFSが運用する特定の合同の資金がプールされたファンドの議決権行使結果も四半期ごとに開示しています。当該情報については、ウェブサイト内の議決権行使に関するセクションをご覧ください。

関連資料

ウェブサイト(www.mfs.com)にて、関連資料をご覧いただけます。

  • MFS議決権行使に関する方針および手続き
  • MFS気候変動戦略アクションプラン
    (気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の 提言に準拠した情報開示)
  • MFSクラスター爆弾に関する方針(※英語版のみ掲載)
  • MFSスチュワードシップコードに対する表明
  • MFS四半期および年次のサステナブル投資に関する報告書
  • 責任投資の基本方針

お問い合わせ

当資料に関するお問い合わせについては、MFSのお客様は担当営業までお問合せください。

また、報道関係者様については、下記までお問合せください。

Daniel Flaherty
Senior Public Relations Manager MFS Investment Management
111 Huntington Avenue
Boston MA 02199-7618
U.S.A.Telephone: +1-617-954-4256
Email: dflaherty@mfs.com

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MFSインベストメント・マネジメント株式会社

⾦融商品取引業者 関東財務局⻑(⾦商)第312号

加⼊協会:⼀般社団法⼈ 投資信託協会、⼀般社団法⼈ ⽇本投資顧問業協会

 

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